今日は前に投稿した廃屋を載せようかと思います(著作権はちゃんと考慮しているので大丈夫です!)ひとつひとつの語に対してちゃんと考えてほしいと思います(縦に書いてあった詩を横にしているので少し読みづらいと思いますがそこらへんはご了承ください)
廃屋 茨木のり子
人が
棲まなくなると
家は
たちまちに蚕食される
何者かの手によって
待ってました! とばかりに
つるばらは伸び放題
樹々はふてくされていやらしく繁茂
ふしぎなことに柱さえ はや投げの表情だ
頑丈そうにみえた木戸 ひきちぎられ
あっというまに草ぼうぼう 温気にむれ
魑魅魍魎をひきつれて
何者かの手荒く占拠する気配
戸さえなく
吹きさらしの
囲炉裏の在りかのみ それと知られる
山中の廃居
ゆくりなく ゆきあたり 寒気だつ
波の底にかつての関所跡を見てしまったときのように
人が
家に
棲む
それは絶えず何者かと
果敢に闘っていることかもしれぬ